大きな病院で診てもらうようにと
お医者さんは紹介状をくれましたが、
わたしはそれをつくえの奥にしまいました。
できるだけ早く手術しないといけない…
それはつまり、おなかからあかちゃんを
だしてしまうということです。
とてもげんきに、じゅんちょうに育っているのに。
わたしがお医者さんへいって
手術をたのむのです。
わたしがあかちゃんを
ころしてしまうのです。

……そんなこと、できるわけありません。
いそがしいとしあきさんは、さいわいまだ
気がついていませんでした。
でも、いつまでもこのままではいられません。
たいせつなだんなさまのあかちゃんを
殺してしまうような、
そんなひどいおくさんが
いていいはずはありません。

「佳子、そういえばあした誕生日だったよな。
 いっしょに外でご飯食べようか。
 子供ができたらなかなかデートなんて
 できないもんな」
「はい……
 楽しみにしてますね」
おとうさんとおかあさんのところへ帰ろう。
おうちは電車でも二時間以上かかる
とおいところです。
でも、わたしにはそこしかたよれる場所が
ありませんでした。
+TOP +   Back   Next
inserted by FC2 system